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  • Fivetranについて

    はじめに 近年、企業におけるデータ活用の重要性が高まる中、「いかに速く・正確に・低コストでデータを統合するか」が大きな課題となっています。特に、SaaSやクラウドサービスの利用拡大により、社内外に散在するデータを一元的に管理・分析する基盤のニーズは急速に高まっています。このような背景の中で注目されているのが、 データ統合自動化サービス「Fivetran」 です。 ▼本記事の目的 本記事では、Fivetranがどのような課題を解決し、どのような特長を持つのかを、データエンジニアリングやデータ分析に関心のある方向けに、以下の観点からわかりやすく解説します: Fivetranの基本概要と特徴 対応データソース・ターゲット 他ツールとの比較や導入メリット ユースケースや導入ステップ モダンデータスタックとの関係 ▼こんな方におすすめ 以下のような課題や関心を持つ方に役立つ内容です: 職種 想定する課題や関心 データエンジニア 日々のデータ連携やETL / ELT処理に時間がかかっている/メンテナンス工数を減らしたい データアナリスト 分析用データが整うまでのリードタイムが長く、機会損失が出ている データ利活用担当 多様なSaaSやDBからのデータ取得を効率化したいが、システム部門に頼りがち Fivetranの基本概要 Fivetranは、 クラウドベースのデータ統合プラットフォーム であり、各種データソースからDWH(データウェアハウス)などへの データパイプライン構築を自動化 するサービスです。ETLではなく ELT(Extract → Load → Transform) の思想に基づいて設計されています。 ▼サービスの基本的な役割 ステップ 説明 ① Extract(抽出) SaaS(例:Salesforce、Google Ads)やDB(例:MySQL、PostgreSQL)からデータを定期的に自動で抽出 ② Load(ロード) 変換せずにそのまま、指定のクラウドDWH(例:BigQuery、Snowflake、Redshift)にロード ③ Transform(変換) DWH上でSQLを用いて必要な加工を行う(Fivetran自身では行わないが、dbtとの連携を想定) ▼主な機能 ノーコード接続 :GUIベースで主要なSaaS/DBと簡単に接続 スキーマ変更の自動追従 :ソース側のカラム追加・削除・型変更を自動検出・反映 定期的な同期 :1時間〜5分間隔でのデータ更新設定が可能(プランによる) セキュアな転送 :暗号化通信・アクセス制御の標準対応 マネージド型 :サーバー管理やジョブ運用不要(SaaSとして完結) ▼主な連携先 分類 主な対象 SaaSアプリ Salesforce、Google Analytics 4、Google Ads、Facebook Ads、Zendesk、HubSpot、NetSuiteなど データベース MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server、MongoDBなど DWH(出力先) BigQuery、Snowflake、Redshift、Databricks、Azure Synapseなど ファイル CSV、Excel、Google Spreadsheets(定期抽出) ※ 対応コネクタは 500種類以上 (公式サイトにて随時更新) ▼ELTツールとしての位置付け Fivetranは「 Extract/Load特化型 」であり、以下のような思想で設計されています: 変換処理はDWH上で行うのが効率的 抽出・ロードを「完全自動」で提供し、メンテナンスを不要にする SQLベースでの変換処理をdbtなどと分離管理することで開発の透明性を保つ Fivetranの主な特徴 Fivetranは「運用負荷の極小化」「変更に強い仕組み」「豊富なコネクタ」などの点で、他のETL / ELTツールと一線を画しています。このセクションでは、Fivetranの主要な特徴をカテゴリ別に整理します。 ▼特徴①:フルマネージド型データパイプライン インフラ管理不要 :サーバー構築・運用・バッチ制御不要(SaaSとして提供) 接続・同期設定はGUIで完結 :数クリックで接続可能 障害検知・リトライ・監視も自動対応 ※特に小規模〜中規模チームにとって、「データ連携のDevOps負荷削減」が最大のメリットとなります。 ▼特徴②:スキーマ変更への自動対応(Schema Drift Handling) スキーマ変更 対応内容 カラムの追加 自動で新カラムを認識し、対象テーブルに追加 カラム名の変更 新しいカラムとして扱う(変更履歴保持) カラム削除・非表示 明示的にマッピングを管理可能(デフォルトでは保持) ※データソース側の改修頻度が高いSaaS系データにおいて、「壊れない連携」が実現されます。 ▼特徴③:差分同期(Incremental Load) 初回はフルロード、それ以降は差分のみ取得(CDC等) 多くのソースでは 変更日時ベースやトランザクションログベース の差分検出 データ量・API制限・レイテンシの最適化に寄与 ※フルロードでAPI呼び出しを繰り返すツールとは異なり、 コストと効率性 の両立が可能です。 ▼特徴④:豊富なコネクタ(公式対応) 常時メンテナンスされた 500種以上のプリビルトコネクタ ソース/ターゲット共に拡充中(最新は公式connector catalog参照) 一部はEnterpriseプラン限定、だが 標準コネクタでも多様な業務領域をカバー ※SalesforceやGoogle Adsなどの複雑なSaaSにも対応しており、導入工数を最小化できます。 ▼特徴⑤:高セキュリティ・高信頼性設計 通信: TLS暗号化、VPN/SSH接続対応 アクセス制御:RBAC対応、ログ監査機能 各種認証:OAuth 2.0、APIキー認証、証明書認証など ※企業内セキュリティポリシーに準拠した運用が可能。 ▼特徴⑥:柔軟な変換設計(Transformは分離) Fivetranは Transform処理を担わない(非侵襲型) SQLベースで dbt(Data Build Tool)と連携 し、DWH上で変換を実施 開発と運用の責任分離が明確になる構成 ※ELT思想のメリットを最大限活かした設計。再利用性やCI/CDにも強い。 ▼特徴⑦:料金体系もシンプル 項目 内容 従量課金制 同期対象の「行数(Monthly Active Rows)」ベースで課金 サービス提供 コネクタ数に制限なし(プランによって差分あり) フリートライアル コネクタ数に制限なし(プランによって差分あり) ※利用規模に応じて段階的に導入しやすい仕組み。

  • DLT(Declarative Data Pipelines)、ELTとETLの比較

    はじめに 現代のビジネスにおいて、データの活用は競争力の源泉となっています。 しかし、 どのようにデータを収集し、加工し、分析できる形に整えるか は、簡単な課題ではありません。その中核となるのが「データパイプライン」です。 ▼データパイプラインとは? 異なるデータソース からデータを収集(Extract)し、 必要に応じて変換(Transform)を行い、 分析基盤やデータマート などへ格納(Load)する一連の処理のこと この処理をどのように設計・運用するかによって、次のような点に大きな違いが生じます: システムの柔軟性・保守性 分析のスピードや正確性 運用コストやトラブル対応のしやすさ ▼本記事の目的 本記事では、データパイプラインの代表的な3つのアプローチである: パターン名 特徴の要約 ETL(Extract → Transform → Load) データベース投入前に変換処理を完了させる ELT(Extract → Load → Transform) 先にDWHへ投入し、DWH上で変換処理を行う DLT(Declarative Data Pipelines) パイプライン処理を宣言的に定義し、自動化・再利用性を高めたアプローチ これらを比較・整理し、実務上どのように使い分けるべきかの指針を提供することを目的としています。 用語と概念の整理:ETL・ELT・DLTとは データパイプラインを理解するうえで、まず以下3つのモデルの概念を明確に整理しておくことが重要です。 ▼各モデルの定義と処理順 モデル 処理順序 特徴 ETL Extract → Transform → Load 変換処理をDWH投入前に完了。従来型の構成。 ELT Extract → Load → Transform 先にDWHへ投入し、DWH側で変換。クラウドDWH時代に普及。 DLT 抽象的に「変換したい結果」を宣言 → 実行エンジンが処理順を最適化 データ変換ロジックを宣言的に記述。DatabricksのDLTなどが代表例。 ▼ETL(Extract → Transform → Load) 従来型のアーキテクチャ で一般的 データウェアハウスやDBに投入する 前に 変換処理を行う ETLツール(例:Informatica、Talend、AWS Glue)などが代表的 向いているケース: ソースデータが 前処理を強く要求する DWHの処理能力が限定的な場合 ▼ELT(Extract → Load → Transform) クラウドDWH(BigQuery、Snowflakeなど)の台頭 で広がった 大量データを 先に格納し、後からDWH内で変換 する手法 dbt(data build tool)などが代表的 向いているケース: ストレージが安価でスケーラブルなDWHを利用している 変換処理をSQLで書ける体制がある ▼DLT(Declarative Data Pipelines) データ処理を「どのように」ではなく「何をしたいか」で記述 処理の 依存関係や再実行制御を自動化 する仕組み 代表例:Databricks DLT(Delta Live Tables) 向いているケース: 再利用性・保守性を重視 するプロジェクト 複雑な依存関係を持つデータ処理の自動化が必要 ▼用語のまとめ表 用語 意味 主な用途・背景 Extract データの抽出(ソース:DB、APIなど) 全モデル共通 Transform データの整形・加工・変換 ETLではETLツール内、ELT/DLTではDWHやエンジン上 Load DWHや分析基盤へのデータ投入 ETLでは最後、ELTでは早期に実施 Declarative 「何をしたいか」を記述 DLTの根幹思想 各パイプラインの構成と処理フローの比較 ETL、ELT、DLTは、 どこで変換(Transform)を行うか や、 処理の記述方法・自動化レベル に違いがあります。ここでは、処理フローやアーキテクチャ構成の観点から比較します。 ▼パイプライン構成の違い(処理ステップと場所) 項目 ETL ELT DLT 処理順 Extract → Transform → Load Extract → Load → Transform 論理的な変換目的の宣言 → 実行エンジンが順序を制御 変換処理の場所 ETLツールやETLサーバー DWH上(SQLなど) 実行エンジン(例:Databricks DLT) 典型的な構成要素 ETLツール + DWH データレイク or DWH + SQL処理エンジン(dbtなど) DLTエンジン(Delta Live Tables)+ Delta Lake 処理制御の粒度 手続き型 SQLロジックベース 宣言型 ジョブ依存関係の管理 明示的な定義が必要 dbtでの依存関係記述など 自動的に解決(宣言順に依存グラフ構築) ▼処理フロー例:図解の代わりにステップで比較 ETL: DB/APIなどからデータを抽出(Extract) ETLツール内で変換(Transform) データクレンジング、結合、集計など DWHへロード(Load) ELT: 抽出(Extract)→ DWHへそのまま格納(Load) SQLで変換処理をDWH上で実施(Transform) BigQueryやSnowflake、Redshift等で分析可能な形式に整形 DLT: Python/SQLで 「このようなテーブルを作りたい」 と定義(宣言) DLTエンジンが依存関係を解決し、必要な順序で自動的に実行 処理ログや監視も含めた パイプライン全体を管理対象に ▼特徴的な観点別の比較 観点 ETL ELT DLT リアルタイム処理との相性 △(バッチ処理が主) ○(DWH次第) ◎(ストリーミング処理対応も可) スキル要件 ETL専用ツール、GUI操作など SQL中心、分析基盤の理解 SQL/Python + データエンジニアリング知識 メンテナンス性 手作業での調整多い モジュール化次第で良好 自動化・再利用性に優れる ▼ポイント ETL :処理順制御しやすいが、運用負荷が高め ELT :DWHの力を活かせるが、設計力が問われる DLT :宣言的で自動化しやすく、今後の主流候補 実運用におけるメリット・デメリット比較 ETL・ELT・DLTは、データの抽出から変換・格納までの流れを担う点では共通していますが、 運用フェーズでの扱いやすさ・柔軟性・拡張性 に大きな違いがあります。 以下の観点で比較します: 開発スピード スケーラビリティ 処理性能 再利用性・保守性 可観測性(オブザーバビリティ) 運用・障害対応のしやすさ ▼各方式のメリット・デメリット比較表 比較観点 ETL ELT DLT 開発スピード GUIツールが補助するが、複雑な設計になることも多い SQL中心でシンプル。スキーマ管理が課題になる場合あり 宣言的に定義でき、再利用・変更も容易 スケーラビリティ ETLサーバーのスケールが必要 クラウドDWHのスケーラビリティを活用 Databricksなどの分散実行エンジン上で処理 処理性能 処理ロジックを最適化しやすい クラウドDWHの並列処理で高速化 Delta Lakeとの統合で効率的な実行 保守性・再利用性 手続き型で属人化しやすい モジュール化やテンプレートで対応可 依存関係の自動管理・宣言的ロジックで保守性高 オブザーバビリティ ログ取得や監視設定がツール依存 DWHやdbtの仕組みを使えば可視化可能 エラー監視・再実行・依存関係管理が一体化 障害対応のしやすさ 途中失敗時のリカバリが煩雑 SQL単位で再実行しやすい 自動リトライ・リカバリ機構あり(例:DLTの状態管理) ▼実運用での選定ポイント 状況 推奨方式 理由 データ品質を担保しながら精緻な前処理を行いたい ETL ロジック制御の柔軟性と前処理粒度 クラウドDWHを活用した柔軟な分析基盤を構築したい ELT DWHの拡張性・SQL資産の活用 頻繁なロジック変更やデータパイプラインの自動管理を行いたい DLT 宣言的記述と依存制御の自動化が有効 ▼ポイント ETL は制御性に優れるが、保守・拡張性に課題 ELT はスケーラビリティに強く、SQL資産を活かせる DLT は自動化と保守性に優れ、 モダンなデータ基盤 での有力な選択肢 DLT(Declarative Data Pipelines)の特徴と利点 DLT(Declarative Data Pipelines)は、近年注目されている 宣言的アプローチのデータパイプライン構築手法 です。特に Databricksが提供する Delta Live Tables(DLT)  が代表的で、従来のETL/ELTとは異なる設計思想を持っています。 ▼DLTの基本的な特徴 項目 内容 宣言的(Declarative) 「どう処理するか」ではなく、「何を実現したいか」を定義する方式(SQLやPythonで記述) 依存関係の自動管理 複数のテーブル間の依存関係を明示しなくても、DLTが自動的にグラフを構築・順序を制御 再実行制御・状態管理 チェックポイントとキャッシュによって、再実行時の差分検知や自動リカバリが可能 開発・保守の効率化 コードベースの一貫性により、保守性と再利用性が向上 ストリーミングとバッチの統合 同一の構文でバッチとストリーミング処理を定義できる(構築・運用負荷を大幅に軽減) ▼従来のETL/ELTと比較したDLTの優位性 比較軸 従来のETL/ELT DLT 処理記述方式 手続き的 宣言的 エラーハンドリング 手動設定・個別対応が必要 自動リトライ・ステータス追跡が標準機能 依存関係管理 手作業でフロー制御 DLTが自動でDAG(有向グラフ)を構築 モニタリング 外部ツールに依存するケースが多い DLTダッシュボードで統合的に監視・管理 バッチ/ストリーミングの統合 別々に実装・運用する必要がある 同じ記述で切り替え可能(@dlt.tableなど) ▼DLTが向いているシーン 複雑な依存関係を持つパイプラインを扱う場合 データパイプラインの信頼性・再現性を高めたい場合 データ量の増加・スキーマ変更に柔軟に対応したい場合 データガバナンスや監査ログの自動生成が必要な場合 ▼補足:DLT ≠ dbt 項目 DLT dbt エンジン Spark / Delta Lake DWH(BigQuery, Snowflakeなど) 実行基盤 Databricks上のマネージドパイプライン DWHのSQL実行とJinjaテンプレート コード管理 Python / SQL SQL + Jinja 共通点 宣言的パイプラインの構築、依存グラフ構築、自動ドキュメント化など 左と同様 適用ユースケース別の使い分け指針 ETL・ELT・DLTはそれぞれ異なる強みを持ちますが、 利用する組織の規模、データ量、スキルセット、要件 によって向き・不向きがあります。 ▼適用ユースケースと推奨方式の早見表 ユースケース 推奨方式 理由・補足 小規模システムでの定型ETL処理 ETL ツールベースで直感的に構築可能。前処理が重視される環境に向く。 BIレポート用途で、分析チームがSQLを活用する環境 ELT DWHへのLoad後、SQLで柔軟に変換処理できる。SQL資産を活用可能。 ストリーミング処理やジョブ依存制御が求められる DLT バッチ/ストリーミング対応、DAG構築、再実行制御などが自動で行える。 データソースが多数あり、依存関係が複雑 DLT 宣言的に定義するだけで依存関係が明示され、パイプライン全体を構成可能。 変換処理に高度な前処理ロジック(Python等)を要する ETL または DLT ETL:ETLツールで柔軟に処理可能/DLT:SparkベースでPython処理も記述可能 スケーラブルなクラウド基盤を前提としたデータ基盤 ELT または DLT クラウドDWHやDatabricks環境を前提とした構成に向く 分析チームとデータエンジニアの協業が前提 ELT(+dbt) dbtによるモジュール管理・SQLベースの開発が可能。非エンジニアにも親和性あり ▼判断時に確認すべき主な観点 観点 質問例 影響 データ量 毎日TB級か?都度数十MBか? 大量ならELTまたはDLT(DWHやSparkのスケール) 処理のリアルタイム性 秒・分単位で更新が必要? ストリーミング対応可能なDLTが有力 技術スタック SQLベース?Pythonも使いたい? SQL中心ならELT/dbt、柔軟性重視ならDLT 運用体制 DevOpsやCI/CDとの連携は? 宣言型で再現性が高いDLTがメンテナンス向き 可観測性要件 ジョブログやデータ品質チェックが必要? DLTはログ・メタデータ・監視の自動統合が可能 ▼使い分けの補足 ETL → ELT → DLT  の順に、構造はシンプル→スケーラブル→自動化・抽象化と進化している dbtとDLTの併用も選択肢になる場合あり(例:dbtでSQLモデル管理、DLTで実行制御) 「技術力×スピード×運用コスト」のバランスで選定するのが現実的 代表的なツール紹介 ETL・ELT・DLTを実現するには、それぞれのアプローチに合ったツールの選定が重要です。ここでは、 現場でよく使われている主要ツール をカテゴリ別に紹介します。 ▼ETL系ツール ツール名 特徴 向いている用途 Informatica PowerCenter 老舗のエンタープライズ向けETL。GUIでデータフローを定義 大企業の複雑なバッチETL処理 Talend オープンソースETLツール。GUIベースで柔軟性あり ミドル規模〜大規模ETL処理に対応可能 AWS Glue サーバレスETL。PySparkベースでAWSと統合 AWS環境でのデータ連携、カスタムETL Apache Nifi フロー指向のデータ処理GUI。リアルタイムETLに強み IoTやログ系のストリーミングETL ▼ELT系ツール ツール名 特徴 向いている用途 dbt SQLベースのELTロジックを管理・実行・ドキュメント化 分析チーム主導のELT処理。BigQueryやSnowflakeと親和性高 BigQuery GoogleのDWH。ELT向きでスケーラビリティに優れる SQLベースでの大量データ変換・集計 Snowflake マルチクラウド対応DWH。セミ構造化データも処理可 ストレージとコンピュートの分離による柔軟な変換処理 Azure Synapse Analytics Microsoft系DWH。Power BIと連携しやすい Azure環境でのELT基盤に最適 ▼DLT系ツール ツール名 特徴 向いている用途 Databricks Delta Live Tables (DLT) Sparkベースの宣言的パイプライン。依存関係の自動解決、監視UI付き バッチ/ストリーミング両対応。大規模なデータ変換に強い Apache Airflow(※補足的) ワークフロー管理ツール。DLTと組み合わせて全体統制に使用 データパイプラインのスケジューリングと統合運用 Prefect(DLT的記述を意識) Pythonで宣言的にパイプラインを記述。モダンETLツールとして注目 ML・データ基盤の柔軟な管理。コードファーストの現場向け ▼他の補助ツール・共通基盤 種別 ツール 補足 データ転送・連携 Fivetran、Stitch ノーコードで各種SaaSやDBと接続してExtractとLoadを担う データ品質監視 Great Expectations DLTやdbtと連携してデータのバリデーションを自動化 可視化/監視 Datadog、Databricks UI、dbt Cloud パイプラインの状況監視とメタデータ管理 ▼選定時のチェックポイント 観点 質問 影響 DWHとの相性 対応しているDWH・クラウド基盤は? Snowflake / BigQuery / Databricksなど 言語・開発スタイル SQLか?Pythonか?GUIベースか? スキルセットや開発チーム体制に影響 デプロイとCI/CD連携 Git管理やCI対応は可能か? dbtやDLTはコードベースでのCI/CDに適応しやすい まとめと今後の展望 ▼今後のトレンド展望 以下は、データパイプライン領域で今後注目すべきキーワードです。 宣言的パイプラインの普及 再利用性や可観測性、CI/CDとの親和性を理由に、DLTやdbtのような宣言的手法の導入が進行 データチームが「インフラ寄り」から「アプリケーションライクな開発」へ移行中 ストリーミングとバッチの統合 従来は別々だった「リアルタイム処理」と「日次バッチ処理」が統合されつつある(例:Databricks DLT) データ品質・メタデータ管理の高度化 データカタログ・検証・リネージュ(系統管理)ツールの統合が今後の焦点 Databricks Unity Catalog や Great Expectations などの台頭 ノーコード/ローコードツールとの共存 エンジニア不在でもデータ活用できる環境が求められ、GUIツールやSaaS連携(Fivetranなど)の役割も重要に ▼データエンジニアとしてのキャリア展望 スキル領域 推奨される習得内容 SQL / dbt 分析駆動のELTパイプライン設計とテスト手法 DLT / Spark 宣言的パイプラインの構築とストリーミング処理への対応 CI/CD・IaC パイプラインのコード管理、再現性の担保、Terraformなどの連携 データ品質管理 データバリデーション/監査ログ/メタデータ管理の自動化ノウハウ ▼最後に データパイプラインは今や「作るだけ」から「 継続的に育て、改善する対象 」へと進化しています。ETLやELTの基本を押さえたうえで、DLTのような最新アプローチを理解することは、 モダンなデータ活用基盤を支えるエンジニアにとって不可欠なスキル です。

  • データエンジニアリングとは?

    はじめに 近年、企業が「データドリブン経営」や「AI活用」を推進する中で、 データエンジニアリングの重要性が急速に高まっています。 単なるデータ分析ではなく、「正確で信頼できるデータ基盤」があって初めて、データの利活用が成立します。 ▼なぜ注目されているのか? 背景 概要 データ活用の高度化 BI、AI、機械学習などの進展により、データの質と整備状況がより重要になった クラウド基盤の普及 GCPやAWSなどにより、スケーラブルなデータ基盤構築が現実的になった 組織全体でのデータ利活用 分析や意思決定の対象が一部部署から全社へ拡大 こんな課題を多くの現場が抱えていてます。 データがバラバラで集計に時間がかかる 拠点や部署ごとにデータ形式が違う 信頼できる「1つの事実」が存在しない BIツールの裏側にある処理がブラックボックス化している これらの課題に対して、 データエンジニアリングは「土台」を整える役割 を担います。 データエンジニアリングの定義 データエンジニアリングとは、 データを分析や活用が可能な状態に整備するための技術とプロセス全般 を指します。 ▼主な対象領域(データパイプライン全体) 項目 概要 データ収集 API・ログ・CSV・DBなど様々な形式でデータを取得 データ整備(変換・加工) 不要な情報の除去、正規化、スキーマ統一、形式変換 データ格納 データのロード、最適な構造設計 データ提供 分析チームやBIツール向けに抽出や加工を実施 モニタリング・品質管理 欠損、異常値、処理失敗の検知とリカバリ対応 ▼データサイエンスやデータ分析との違い 領域 主な目的 利用技術例 データエンジニアリング データの整備・供給 SQL、Python、dbt、GCP、AWS、Snowflake、Databricks データ分析・BI 現状把握と仮説検証 Tableau、Looker、Excel データサイエンス 予測・分類などのモデリング Python、R、MLライブラリ データエンジニアの役割と責任 データエンジニアは、 データを「収集」し、「整え」、誰もが使える状態に「届ける」までを担う専門職 です。以下のような役割と責任があります。 ▼主な役割 役割カテゴリ 内容 使用技術例 データの収集・連携 API、ログ、外部DBなどからの取得処理設計・開発 Python、Fivetran、Cloud Functions データパイプライン構築 ETL/ELT処理の設計と運用、自動化 Airflow、dbt、Dataform DWH/データレイク設計 BigQueryやSnowflakeなどへの格納と構造設計 SQL、GCP / AWS、Terraform データ品質管理 欠損・異常検知、スキーマ管理、テスト自動化 Great Expectations、dbt tests 権限・ガバナンス設計 アクセス制御、データ分類、セキュリティ対応 IAM、カタログツール(Data Catalog) ▼責任範囲 信頼できるデータ基盤の提供 「この数値はどこから来たか」が明確な状態に 安定稼働の維持と監視 ジョブ失敗・遅延時のリカバリ対応 スケーラブルな設計 データ量やユーザー増加にも対応できる構成に 分析チームとの連携 「どの粒度・形式でほしいか」の要件ヒアリングと実装 ▼よくある誤解 データエンジニアは「裏方でコードだけ書いてる人」と思われがちですが、正しくは「 ビジネス課題をデータ構造に翻訳する人 」です。実際には、 分析チームや業務部門との要件調整、実行計画の立案、運用設計など幅広い役割 を果たしています。 主な業務プロセスとフロー データエンジニアリングの仕事は、 「データを使える状態にする」ための一連の流れを設計・実装・運用すること です。 ▼データエンジニアリングの基本フロー(ELTモデルに準拠) フェーズ 主な作業 使用技術例 データ収集 ・外部サービスやDB、ファイル等からデータを取得 ・API連携、ログ収集バッチなど Python、Cloud Functions、Fivetran、Pub/Sub データ格納 ・データレイクやDWHにデータを一時・恒久的に保存 ・フォーマット変換(CSV、JSON、Parquetなど) BigQuery、Snowflake、S3、GCS データ変換・整備 ・整形、結合、加工、不要データ除去 ・分析しやすいスキーマ・粒度に変換 dbt、SQL、Dataform データ提供・活用 ・BIツール用ビューの作成 ・データマート構築、API提供 Looker、Tableau、Redash、API Gateway、Looker Studio モニタリング・運用 ・処理の失敗検知、データ品質チェック ・パイプラインの監視・アラート設計 Airflow、Cloud Monitoring、Great Expectations ▼フロー図 ▼補足ポイント 近年は「ETL」よりも「ELT」モデルが主流 理由:DWHの性能向上により、変換処理をDWH内で完結できるため。 再利用性とスケーラビリティを意識した設計が求められる よく使われる技術・ツール群 データエンジニアリングでは、目的に応じて多様なツールを組み合わせて使います。ここでは、 実務での採用例が多い主要な技術スタックをカテゴリ別に紹介 します。 ▼カテゴリ別ツール一覧 カテゴリ 主なツール 用途 and / or 特徴 データ収集 Fivetran / Stitch / Python / Cloud Functions SaaS・API・ファイルなどからデータを抽出する仕組み メッセージング/ログ収集 Kafka / Pub/Sub / Fluentd / Logstash ストリーミングやリアルタイム処理の入口に使われる ストレージ Google Cloud Storage / Amazon S3 生データを一時保存する「データレイク」として活用 DWH BigQuery / Snowflake / Redshift 分析用の構造化データを格納する高速なDWH ETL / ELT変換 dbt / Dataform / Spark / Pandas データを整形・変換し、分析可能な形にする ワークフロー管理 Airflow / Prefect / Dagster 定期的なデータ処理や依存関係の管理 データ品質管理 Great Expectations / dbt tests スキーマチェックや期待値に基づく検証 BI・データ可視化 Looker / Tableau / Power BI / Metabase データをグラフやダッシュボードで可視化 インフラ管理(IaC) Terraform / CloudFormation クラウドリソースの構築をコードで自動化 ▼選定時のポイント 規模・更新頻度・チーム構成によって最適解は異なる クラウドベースでマネージドサービスを活用する構成が主流 コードベースで管理できるツールは再現性と運用効率が高い データエンジニアリングと他職種との関係 データ利活用が組織全体に広がる中で、データエンジニアは 他職種と連携しながら、共通の目標に向かう役割 を担います。 ▼職種ごとの主な役割と関係性 職種 主な役割 データエンジニアとの関係 データアナリスト データを集計・可視化し、課題の発見や報告を行う 必要なデータの提供やマート整備を担う データサイエンティスト モデル開発・予測分析・実験設計などを行う 前処理・特徴量生成のデータ準備を支援 BIエンジニア ダッシュボードの設計と実装 安定したデータソースの提供元として連携 プロダクトマネージャー ビジネス要求を定義し、分析ニーズをまとめる 要件のヒアリング、KPI設計の技術面サポート マーケター 広告・キャンペーンの効果測定、CRM活用 顧客・売上データの整備・分析支援 ▼補足ポイント データエンジニアは 「つなぎ役」でもあり「土台作り職人」でもある 単にデータを処理するだけでなく、 「誰に・何の目的で・どんな粒度で」使われるかを理解する力が重要 「このデータで何がしたいか?」の背景理解があるほど、技術力が活きる データエンジニアリングの成功事例 データエンジニアリングの効果は、 「分析しやすい状態」を作ることで業務の効率化や意思決定の質を高めること にあります。以下に代表的な成功パターンを紹介します。 ▼成功事例①:SaaS企業における全社共通のKPI可視化基盤構築 項目 内容 背景 各部門ごとに異なる定義・指標でKPIを管理していたため、会議で数値が食い違うことが多発 施策 データエンジニアが全社共通のDWHとKPI定義レイヤー(dbtなど)を整備。BIツールで全社共通の指標を統一 結果 会議で「数値の正しさを議論する時間」がゼロに。データを起点にした改善提案が増加 ▼成功事例②:小売チェーンにおける在庫最適化の支援 項目 内容 背景 店舗単位の売上・在庫・仕入れのデータが分散し、需給予測が属人的だった 施策 商品ごとにPOSデータ、物流データを統合。在庫変動・販売トレンドを週次で自動可視化 結果 欠品率が15%改善、廃棄ロスが大幅減少。需要予測の制度向上により発注精度も改善 ▼成功事例③:Webサービスにおけるユーザー行動ログの分析基盤構築 項目 内容 背景 アクセスログの形式がバラバラで、分析に毎回2〜3日かかっていた 施策 Cloud Logging → Pub/Sub → BigQuery のログパイプラインを構築。セッション単位で集計できるビューを整備 結果 分析のリードタイムが「数日 → 数分」に。プロダクト改善サイクルが高速化し、LTV向上に貢献 ▼成功事例に共通するポイント データの 整備と再利用性 が分析力・業務改善の土台になる 部門横断で使える共通基盤 が意思決定のスピードと精度を高める データエンジニアは単なる「実装者」ではなく、 業務課題の構造理解者 として機能している 現場でよくある課題と対処法 データエンジニアリングの現場では、 ツールや設計以前に「運用・連携・属人化」にまつわる課題が頻出します 。ここでは、典型的な課題と実際に取られている対処法を紹介します。 ▼主な課題とその対処法 課題 内容 対処法(実務例) データのサイロ化 部署ごとにデータが閉じていて横断的に使えない DWHに統合し、「共通キー(顧客IDなど)」で連携可能な構造へ再設計 スキーマの非統一/ドリフト 同じ項目でも名称や形式がバラバラ、突然変わる スキーマ管理ルールを定義。Great Expectationsやdbtで検知と自動テストを導入 属人化されたSQLやバッチ 担当者しか中身がわからない/コード管理されていない Gitでバージョン管理し、SQL変換はdbtなどで再利用可能にドキュメント化 パイプラインの不安定さ 処理がよく落ちる、再実行に手作業が必要 ワークフロー管理にAirflowを導入、リトライや依存制御を自動化 どのデータが正か不明 同じKPIでも抽出元により数値が異なる 「指標の定義と生成ロジック」を共通化し、Lookerのメジャー定義やdbt modelで一元管理 ▼現場でありがちな“落とし穴” スピード優先で構築 → 保守不能なパイプラインが残る BIツールから直で複雑なSQLを書いてしまい、属人化 ログやAPI仕様変更に気づかず、処理失敗が放置される 分析者から「この数値、正しいの?」と毎回確認が入る ▼成功へのヒント 技術だけでなく、「 運用フロー・責任範囲・ドキュメントの整備 」が長期的な品質に直結する すべてのデータに「 オーナーシップと品質担保の設計 」を持たせることが重要 今後のトレンドとキャリア展望 データエンジニアリングの領域は、 単なるデータ整備から「ビジネス変革を支える基盤職種」へと進化 し続けています。 ▼技術トレンド(2025年以降の注目領域) トレンド 説明 影響/機会 ELTからDLT(Declarative data pipelines)へ dbtを中心とした宣言的変換の普及 テスト・再利用性・CI/CDが前提のパイプライン設計が主流に リアルタイム処理基盤の強化 Kafka / BigQuery Streaming / Flink の台頭 分析だけでなく、プロダクトや広告施策に即時反映が可能に 生成AIとの統合 RAG構成やLLMフィード用の高品質データ提供 「AI活用の裏側を支える職種」としての存在感が強まる データガバナンスの高度化 カタログ、アクセス制御、データリネージュの整備 セキュリティ・品質管理の専門性が評価される流れに インフラ自動化・IaCの一般化 Terraform / CDK による再現性・監査性の強化 SREとの連携・DevOps文脈での価値が上昇 ▼キャリア展望と専門性の広がり ロール名 進化・分化の方向 主なスキル要件 シニアデータエンジニア 複雑なパイプライン設計、チームリード データ設計、CI/CD、アーキテクチャ設計 データプラットフォームエンジニア 社内共通データ基盤の構築・運用 GCP/AWS、Terraform、Airflow、ガバナンス ML Opsエンジニア 機械学習パイプラインの実装と運用 モデル管理、特徴量ストア、Docker/Kubernetes アナリティクス エンジニア 分析しやすい構造をSQL中心で構築 dbt、Looker、KPI設計、SQLチューニング ▼こんな人材が求められる ビジネスとデータ両方の言語を理解できる人 再現性・品質・運用のバランスを考えられる人 「手を動かせる戦略家」タイプのエンジニア まとめ 本記事では「データエンジニアリングとは何か?」について、基礎から応用、実務での課題、今後の展望までを体系的に解説してきました。 ▼本記事の要点 項目 ポイント データエンジニアリングとは データを「使える状態」に整えるための技術・設計・運用 主な役割 データ収集、加工、保存、提供、品質管理 重要性 ビジネスや分析の成果は、信頼できる基盤なくして成立しない よくある課題 サイロ化、品質問題、属人化、運用負荷など 最新トレンド ELT→DLT、リアルタイム処理、AI統合、ガバナンス強化 キャリア機会 技術軸と業務理解を兼ね備えた職種として拡大中 ▼データエンジニアリングに取り組む企業・個人へ 「社内に散在するデータを活用したい」 「分析しやすい基盤がなく、毎回手間がかかる」 「データ活用を戦略的に進めたい」 そんな課題を抱える方には、 データエンジニアリングの整備が非常に効果的 です。

  • クラウドプラットフォームの比較

    近年、クラウドコンピューティングは、私たちの仕事や日常生活において欠かせない技術となりました。それは、データを保存し、アプリケーションを実行する新しい方法を提供してくれるからです。しかし、多くのクラウドプラットフォームが存在する中で、「どのプラットフォームが私のニーズに最適か?」と疑問に思われる方も多いでしょう。 この記事では、そんな疑問にお答えするため、主要なクラウドプラットフォームを比較し、それぞれの特徴、強み、そして適している使用シナリオについて解説していきます。またこの記事の目的は、読者のプロジェクトやビジネスに最適なクラウドサービスを選択できるように、必要な情報を提供することです。 「クラウドプラットフォーム」という言葉を聞いたことはあっても、その詳細や違いが何なのかを詳しく知らない方もいるかもしれません。心配ありません。この記事では、クラウドプラットフォームがどのようにして私たちのデジタルな世界を支えているのか、基本から丁寧に説明していきます。そして、Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud Platform (GCP)、Microsoft Azure など、市場で最も人気のあるプラットフォームの比較を通じて、それぞれのサービスがどのような場合に最適なのかを見ていきましょう。 ◼️各クラウドプラットフォームの概要 クラウドプラットフォームの選択肢は多岐にわたりますが、今日はその中でも特に人気のある3つ、Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud Platform (GCP)、および Microsoft Azure に焦点を当て、それぞれの基本的な特徴と強みについてお話しします。 ▼Amazon Web Services (AWS) AWSは、クラウドプラットフォームの世界において先駆者的な存在であり、広範囲にわたるサービスと機能を提供しています。AWSは、コンピューティング、ストレージ、データベース管理から、人工知能や機械学習などの先進的な技術まで、あらゆるニーズに応えることができます。その汎用性と拡張性は、スタートアップから大企業まで、幅広い顧客に選ばれる理由となっています。 ▼Google Cloud Platform (GCP) GCPは、Googleの強力なインフラストラクチャを背景に持ち、特にデータ分析と機械学習の分野で強みを発揮します。Googleが開発したビッグデータやAIに関するサービスは、高性能かつ効率的であるため、データ駆動型のプロジェクトやアプリケーション開発に最適です。また、GCPはコスト効率が高く、特にクラウド上での開発環境を求める開発者に人気があります。 ▼Microsoft Azure Azureは、Microsoftが提供するクラウドサービスで、特に既存のWindowsサーバーや.NETアプリケーションとの互換性を持つ点で優れています。これにより、Microsoftの製品を既に使用している企業は、容易にクラウドへの移行を行うことができます。Azureは、企業向けの強力なサービスを多数提供しており、特にエンタープライズレベルの顧客に選ばれています。 ◼️比較基準の設定 クラウドプラットフォームを選択する際、ただ単に「どれが一番いいか」と尋ねるのではなく、「どれが私のプロジェクトやビジネスに最適か」と考えることが重要です。そのためには、比較する際の明確な基準を設定する必要があります。ここでは、クラウドプラットフォームを比較する際に考慮すべき主要な基準をいくつかご紹介します。 1. コスト効率 クラウドサービスのコストは、選択するサービスや利用量によって大きく異なります。料金体系が複雑な場合もあるため、実際の利用予定に基づいてコストを評価することが重要です。また、長期間の契約や予約購入が可能な場合の割引も検討しましょう。 2. パフォーマンス アプリケーションの種類や利用パターンによって、必要とされるパフォーマンスは異なります。計算能力、ストレージの速度、ネットワークの帯域幅など、特定のニーズに最適なプラットフォームを選ぶことが大切です。 3. 利用のしやすさ 管理画面の使いやすさや、サービスの設定・管理の簡便さも重要な比較基準です。また、ドキュメンテーションの充実度や、学習リソースの質も考慮に入れましょう。 4. セキュリティ データの安全性はどのビジネスにとっても最優先事項です。各プラットフォームのセキュリティ機能、コンプライアンス認証の有無、データセンターの物理的なセキュリティ対策などを評価してください。 5. サポート体制 万が一のトラブル時に迅速なサポートを受けられるかどうかも、非常に重要なポイントです。サポートのレベル、対応時間、コミュニケーションの方法など、サポート体制をしっかりと確認しましょう。 6. 拡張性 将来的な成長や変化に対応できる柔軟性も、クラウドプラットフォームを選ぶ上で考慮すべきです。容易にリソースを追加・削除できるか、また、グローバルな展開をサポートしているかどうかをチェックしましょう。 ◼️各プラットフォームの比較 クラウドプラットフォームを選択する際、さまざまな要素を慎重に考慮する必要があります。前述した比較基準を用いて、Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud Platform (GCP)、Microsoft Azure の三つの主要なプラットフォームを比較してみましょう。この比較を通じて、それぞれのプラットフォームがどのような状況に最適であるかを理解することができます。 ▼コスト効率 ・AWS: 広範囲にわたるサービスと柔軟な料金体系を提供しています。利用した分だけ支払う従量課金制が基本ですが、長期間の利用を予定している場合は、予約インスタンスや節約プランを利用することでコストを削減できます。 ・GCP: 独自の持続的使用割引を提供し、自動的に長期間の利用に対する割引が適用されます。また、ネットワーク使用料が比較的低いため、大量のデータを扱うプロジェクトに適しています。 ・Azure: 従量課金制に加え、Microsoft製品との統合を利用する企業に対して割引を提供します。既存のMicrosoftソフトウェアライセンスを活用できる「ハイブリッド利用特典」により、コストを抑えることが可能です。 ▼パフォーマンス AWS: グローバルに分散されたデータセンターを持ち、幅広い計算オプションを提供することで、高いパフォーマンスを実現します。 GCP: 高性能な計算オプションと、Googleの高速プライベートネットワークを利用することで、データ処理の速度が非常に高いです。 Azure: Microsoftの技術を最大限に活用しており、特にWindowsベースのアプリケーションで高いパフォーマンスを提供します。 ▼利用のしやすさ AWS: 豊富なドキュメンテーションと学習リソースを提供していますが、サービスの多さから学習曲線が比較的高いです。 GCP: Google Cloud Consoleの使いやすさと、Googleの技術に精通したコミュニティのサポートにより、新規ユーザーでも比較的取り組みやすいです。 Azure: Microsoft製品を既に使用している企業にとっては、統合された管理ツールと共通の操作感が利用のしやすさを高めています。 ▼セキュリティ AWS、GCP、Azure: 三つのプラットフォームとも、業界標準のセキュリティ対策を提供し、多数のコンプライアンス認証を取得しています。具体的なセキュリティニーズに応じて、各プラットフォームの詳細なセキュリティ機能を比較することが重要です。 ▼サポート体制 AWS、GCP、Azure: 有料のサポートプランを提供しており、レスポンス時間やサポートの範囲に応じて複数のオプションがあります。緊急性の高いプロジェクトでは、高レベルのサポートプランの検討が必要です。 ▼拡張性 AWS、GCP、Azure: いずれのプラットフォームも、リソースの迅速な追加や削減が可能で、グローバルな展開をサポートしています。将来の成長に合わせてスケールアップやスケールアウトが容易です。 ◼️利用シナリオ クラウドプラットフォームを選択する際には、それぞれのプラットフォームがどのような利用シナリオに最適であるかを理解することが大切です。ここでは、一般的なシナリオと、それぞれのプラットフォームがどのように最適な解を提供するかを見ていきましょう。 ▼スタートアップのスケーラビリティ シナリオ: 急速に成長するスタートアップが、拡大するビジネスニーズに迅速に対応するためのクラウドソリューションを探しています。 推奨プラットフォーム: AWS または Google Cloud Platform 理由: AWSは豊富なサービスと高い拡張性を提供し、急成長するビジネスのニーズに対応します。GCPは持続的使用割引などのコスト効率の良さと、Googleの強力なデータ分析ツールがスタートアップにとって魅力的です。 ▼データ分析と機械学習 シナリオ: 大量のデータを分析し、機械学習モデルを開発・デプロイする必要がある企業。 推奨プラットフォーム: Google Cloud Platform 理由: GCPはGoogleの先進的な機械学習とデータ分析ツールを提供し、データ駆動型の意思決定をサポートします。BigQueryやCloud ML Engineなどのサービスは、この種のプロジェクトに理想的です。 ▼エンタープライズのデジタルトランスフォーメーション シナリオ: 既存のシステムをクラウドに移行し、デジタルトランスフォーメーションを加速させたい大企業。 推奨プラットフォーム: Microsoft Azure 理由: Azureは、Microsoftの製品との高い互換性を持ち、企業が既存のWindows ServerやSQL Serverなどの資産を容易にクラウドに移行できるようにします。また、エンタープライズレベルのセキュリティとサポートが提供されます。 ▼グローバルなWebアプリケーション シナリオ: 世界中のユーザーにサービスを提供するグローバルなWebアプリケーションを展開したい。 推奨プラットフォーム: AWS または Azure 理由: AWSとAzureは共に、世界中に分散されたデータセンターを持ち、グローバルなリーチと高い可用性を提供します。これにより、どこにいてもユーザーに低遅延でアプリケーションを提供できます。 ▼結論 クラウドプラットフォームを選ぶ際には、多くの要素が関係してきます。今回ご紹介したAmazon Web Services (AWS)、Google Cloud Platform (GCP)、Microsoft Azureの各プラットフォームは、それぞれ独自の強みを持っており、特定のニーズや利用シナリオに最適な解決策を提供しています。 AWSは、その広範囲にわたるサービスと柔軟な料金体系で、あらゆる規模の企業やプロジェクトに適しています。特に、拡張性と汎用性を重視する場合には最適な選択肢となるでしょう。GCPは、データ分析と機械学習の強力なツールを提供しており、これらの技術を利用してイノベーションを加速させたい企業に最適です。Azureは、Microsoft製品との深い統合を提供し、特にWindowsベースのアプリケーションやエンタープライズ環境において強みを発揮します。 クラウドプラットフォームの選択は、単に技術的な比較だけではなく、ビジネスの目的、費用対効果、将来の成長戦略など、幅広い観点から検討する必要があります。今回提供した比較基準や利用シナリオを参考に、ビジネスやプロジェクトに最適なクラウドプラットフォームを選ぶことができれば幸いです。 最後に、クラウドプラットフォームは常に進化しています。今日最適な選択肢が、明日も同じであるとは限りません。定期的に市場の動向をチェックし、新しいサービスや機能、料金体系の変更に注意を払うことが、長期的に成功するクラウド戦略を維持する鍵です。 変化を恐れず、常に最適な選択を追求することで、クラウドコンピューティングの真の力を解き放つことができるでしょう。ビジネスやプロジェクトが、クラウドを活用して新たな高みに達することを願っています。

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